シューベルトの楽曲は、長調の曲でもどこか切なさや暗さのようなものがあり、なかなか元気がある時でなければ聴くことができない。
ピアノソナタ変ロ長調(21番)も例外でなく、長調と短調が入り乱れ長大であり複雑ではあるけれど、美しく、聴きごたえのある一曲である。主題のメロディーは親しみやすいのだけれど、段々と重層的になり、宙を惑うような感覚を味わえる。
私自身クラシック音楽はあまり頻繁に聴かないのだけれど(どちらかといえばカントリー音楽やらジャズばかりであるが)シューベルトの曲が好きで、シューベルトのピアノソナタのCDだけは持っている。とは言っても、アフナシェフの演奏する21番ソナタ以外に、ピアノソナタの音源はレコードでも持ってはいない。楽興の時とオーケストラものならば他にも持ってはいるのだけれど、一番よく聴くのはこのピアノソナタのアルバムである。
ECMというマンフレッド・アイヒャーのレーベル、それも主に現代的な(?)Jazzを得意とするレーベルから出ているこの音源は、アイヒャーとギドン・クレーメルがプロデュースしている。クラシックの王道的なレーベルではなく、このECMからリリースされているというのも頷けるような少し冷たく、朴訥で無機質な感じまでするような演奏ではあるけれど、不思議と長い一曲を通して聴いていて退屈しない演奏である。
クラシックの専門家(そんな人いるのかしら?)が聴くとまた印象も違うのかもしれないけれど、私はこの曲の音源はこれしか持っていないので比べようもない。しかしながら、シューベルトの書いたこの曲の不思議な魅力を味わうことのできる録音であることは確かだ。ピアノという楽器からこういう色彩がありながら、暗い音色を出せるピアニストはなかなか貴重だ。
アフナシェフというピアニストがどんな人なのか私は知らないけれど、お気に入りの一枚である。もし、この録音を聴いたことがあれば、私にも感想を聞かせて欲しい。

No responses yet