エレクトリックピアノ(RhodesとWurlitzer)のサウンドは、アコースティックピアノとは一味違い、一度聴いたら忘れられない。そのRhodesとWurlitzerは主に1970年代以降のジャズやソウルのアルバムで聴くことができる。もちろん、その他のポピュラーミュージックでも登場するのだけれど、ジャズとソウルのミュージシャンは特に当時新しかったサウンドに目をつけたのだろう。

Wurlitzerはとっくに生産が終了しており、その複雑な構造や壊れやすさから再生産をしようという猛者もいなくなってしまった。Rhodesは比較的シンプルなこともあり、Vintage VibeとRhodes社が今でも新品のRhodes型のエレクトリックピアノを生産している。どちらも日本円で100万円をゆうに超える値段からおいそれとは手を出せないけれど、鍵盤のタッチなどがより敏感になり(この辺の好みは分かれるのだけれど)進化型となっている。

それでも、新品のエレクトリックピアノを購入しようという人口はおそらくアコースティックピアノよりもずっと少なく、日本国内でもなかなか販売しているところを探すのは困難なので、アメリカ(Vintage Vibe)やイギリス(Rhodes)から取り寄せて買うしかない。

そんな、時代の流れに流されてしまいそうなエレピの世界ではあるけれど、シンセサイザーに内蔵された音源だけでは再現できないそれぞれの楽器の魅力がある。それはハープシコードやクラビコードのような古典楽器や、ハモンドオルガンやクラビネットの音色がシンセ音源からだけでは再現できないのと同じようなものだ。

私自身、エレピの音色に取り憑かれてしまい、個人的に何台もコレクションしている。(このサイトで販売しているRhodesはそんな中から出品している)そのエレピの音色に魅了されたアルバムはたくさんあるのだけれど、ここではその中でも私が特別に好きな一枚を紹介したい。

Gil Scott HeronとBrian Jacksonのアルバム”Winter In America”だ。

このアルバムは、一曲目のイントロからWurlitzerとRhodesの音色を堪能できる。このイントロを聴いただけで、エレピというもののどれだけ独自の表現の幅があるかを感じることができるだろう。エレピを演奏しているのはGil Scott HeronとBrian Jackson。どちらがWurlitzeでどちらがRhodesなのかはわからないけれど、この2台の絡みが冒頭から繰り広げられる。

このアルバムには収録されていないのだけれど、同タイトルの”Winter In America”という曲もリリースされていて(まことに紛らわしい)それもエレクトリックピアノの魅力が味わえる。

このアルバムに入っている楽曲の少し湿っぽさもいい雰囲気を出している。エレピのサウンドの醸し出す柔らかいベールのような透明感とフルートが良いコントラストになっている。エレピで演奏されている音符たちはシンプルで、技巧的なところはほとんど感じられないのだけれど、その淡々とした感じがこのアルバムのトーンを決めている。特に6局目の”Song For Bobby Smith”の伴奏のエレピが素晴らしい。

このアルバムを聴いていると、RhodesとWurlizerのサウンドは時代を超えて私の心に響いてくる。

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